玉村和己

玉村和己

公益財団法人神奈川芸術文化財団 理事長

私どもが主催団体として参画する「国際舞台芸術ミーティング」が横浜で開催されるようになってから、今回で11回目となりました。改めて、この催事を支えて下さる多くの皆さまのご尽力に深く感謝申し上げます。

主催公演である「TPAMディレクション」の主会場ともなるKAAT神奈川芸術劇場では、これまでも気鋭のアーティスト達が、演劇・ダンス・音楽・アートの枠にとらわれない舞台芸術の新たな可能性について再考し、創り上げた作品を上演してまいりました。 

今回も、創造型劇場としての特性を活かし、施設を会場として提供すると共に、「芸術の創造、人材の育成、賑わいの創出」という当劇場のミッションのもと、アーティストの創造を最大限にバックアップし、芸術文化を支える一翼を担っていけるように邁進してまいります。

そして、TPAMとしての開催は今回が最後となり、次回からはYPAMと名称を変え、2021年12月、新たに開幕いたします。名実ともに、国際文化交流先駆けの地である横浜、神奈川を拠点として、この催事が芸術文化との新たな出会いと交流の場としてさらに発展深化していくことを心より願っております。

 

近藤誠一

近藤誠一

公益財団法人横浜市芸術文化振興財団 理事長

新型コロナウイルスによって、これまでの日常の仕組みや人々の考え方が大きく変わる中、舞台芸術の在り方や社会的な役割にも、大きな変化が求められることは間違いありません。舞台芸術は何を表現し、社会に何を訴えることができるのか。アーティストだけではなく、われわれ制作に関わるスタッフ、市民、施設、すべての人々に問いかけられています。国際的ネットワーキングを軸とするTPAMも、海外渡航に大きな影響を受ける中、今回のTPAMは横浜から国内外の舞台芸術関係者へ、ウィズコロナ、ポストコロナのメッセージを発信するものとなるでしょう。

また、横浜に開催の場を移して10年、来年度からTPAMは“YPAM”としてプラットフォームを再構築いたします。これまでよりもさらに横浜が持つ資源、魅力、創造性を活かし、横浜ならではのプログラムや、新たなネットワークから生まれるプロジェクトを展開してまいります。

このコロナ禍の舞台芸術を取り巻く諸問題に対し、TPAMの持つネットワーキングの力が課題解決の一助となることを願っています。

 

丸岡ひろみ

Photo by Hideto Maezawa

丸岡ひろみ

国際舞台芸術ミーティング in 横浜 ディレクター
PARC – 国際舞台芸術交流センター 理事長

TPAM2021のプログラム情報公開に先立ち、今回の開催に向けてご尽力くださった皆様に心より感謝いたします(この文は11月25日に記しました)。 どんな催事もそうであるように、TPAM2021も特別な会となるでしょう。表現と集会の自由は舞台芸術の、移動の自由は国際交流の成立条件だったと言えますが、新型コロナウィルス感染症対策の影響でこれらの自由に否応なく制限がかかり、これまでの舞台芸術と国際交流の概念が解体・再構築されつつあります。

そうした状況下での開催となるTPAM2021は、「いま・ここ」との遭遇とその経験の共有としてのライブ・パフォーマンスの意味を再考する場でありたいと考えています。

来場参加を基本としながら、プログラム間の競合を従来より大幅に減らし、会期前に助走期間も設け、余裕を持ってご参加いたただけるようにしました。来場が難しい方や遠隔地・海外からのオンライン参加も一部可能です。

また、この状況下で活動を継続・展開しようとしているアーティスト、カンパニーのみなさまへの連帯の表明として、TPAMフリンジの登録料は無料とさせていただきました。12月20日までご登録を受け付けておりますので、ご参加いただけましたら幸いです。

2021年は東日本大震災と福島第一原子力発電所事故から10年目の年でもあります。原発をめぐる家族の物語を通して日本戦後史を浮かび上がらせる6時間の大作『福島三部作』は、被災と汚染が未解決であることだけでなく、俳優が伝えることを時間をかけて共有するという経験の価値も思い起こさせてくれるでしょう。この上演は英語字幕つきでライブ配信し、時差の大きい地域向けにその録画の配信も行ないます。

さて、TPAMは来年度から12月に会期を移し、呼称も「YPAM – 横浜舞台芸術ミーティング」(仮称)として再スタートを切る予定です。最後のTPAMに海外からの来場参加が期待しにくいことは残念ですが、ここ数年のアジア・フォーカスで学んだこと、築いたつながりを大事にして、引き続き舞台芸術の創造・普及・活性化に取り組むみなさまのお役に立つプラットフォームとして継続発展を目指してまいります。みなさまの変わらぬご指導、ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。