タン・フクエン ディレクション
シャム語で「記録」を意味する語「サムート」は、共存への望みを書き起こし舞台に上げる複数のオルタナティヴな手つきを包含するような、流動的な場所性を示している。タイの複雑な変化の諸様相に関する省察。
2日間の持続的なアトリエ「サムート・タイ」は、この王国における「帰属」の諸歴史に関する、多様な芸術家からのステートメントを集めたものだ。
最愛なる君主プミポン国王の逝去、そして現在権勢を示す軍事政権は、この「微笑みの国」を様々な感情が淀み混じる不安定な状態へと追い込んだ。「サムート・タイ」では、この不安定さは「ワーク・イン・プログレス」の形態で体現される。それぞれの作品が、仮の状態にありながら「真実」に根拠を求め、希望の新たな1ページをめくって無血の明日へと向かうのである。
タン・フクエン
(ドラマトゥルク/キュレーター/プロデューサー)
コンテンポラリー・パフォーマンスおよび美術の分野で活動するインディペンデントのカルチュラル・ワーカー。バンコクを拠点にアジアとヨーロッパで多くのプロジェクトを手がけている。第53回ヴェネツィア・ビエンナーレでシンガポール館の単独キュレーターを務めたほか、シンガポール・アーツ・フェスティバル、インドネシア・ダンス・フェスティバル、イン・トランジット・フェスティバル(ベルリン)、バンコク・フリンジ・フェスティバル、コロンボ・ダンス・プラットホーム(スリランカ)などでも仕事をしている。