加藤弓奈 ディレクション
それぞれの作品に、2人の作家が関わっています。金氏徹平の美術作品はもちろん、彼が手がける舞台美術は圧巻です。身近なはずのプラスチック製品が積み重なり、観たことも無いような空間を創り上げます。それをさらに拡張させるような山田晋平の映像は、観客の目に空間がもつ様々な可能性を映し出してくれます。
酒井幸菜(振付家)と藤田貴大(作家・演出家)には、よく似た部分を感じています。それは「美しい配置」を徹底しているところです。チェスの駒を動かすように、美術・明かり・音・人、等が舞台上に配置され、動かされることで、美しいシーンが積み上がっていきます。
また両作とも、私たち観客の目の前には1人の俳優がいます。彼女(たち)こそが、作品を完成させる重要なピースです。青柳いづみと吉田聡子は「出演者」という言葉だけでは表現出来ない作業を、積み重ねています。
「2人の作家と1人の俳優」が生み出す作品を、お楽しみください。
加藤弓奈
(急な坂スタジオディレクター)
早稲田大学第一文学部演劇映像専修卒。在学中からインターン生として横浜の小劇場「STスポット」で制作アシスタントを務め、卒業と同時に就職。2006年、育成型の稽古場施設「急な坂スタジオ」の立ち上げに参加。2010年4月、ディレクターに就任。以降、若手アーティストの創造活動をサポートするプログラムに取り組む。