安藤裕康

国際交流基金 理事長

国際舞台芸術ミーティング in 横浜(TPAM)に対し、変わらぬ関心を寄せてくださる皆様に心から感謝します。

TPAM2017は引き続きアジアにフォーカスします。日本、インドネシア、タイ、韓国、ベトナム、カンボジアなどのアーティストを取り上げ、多様なプログラムを展開します。今年の上演作品には、平田オリザ+盗火劇団による共同制作『台北ノート』(会場:横浜美術館)の世界初演や、2015年韓国・光州アジア芸術劇場のオープニング時に初演され、国際的な注目を浴びたタイの映画監督・美術家アピチャッポン・ウィーラセタクンによる初の舞台作品『フィーバー・ルーム』などが含まれます。

今年はTPAMのネットワーク形成・拡充機能をさらに充実させ、参加者によるTPAMの活用を促進します。そして国際交流基金アジアセンターは例年通り、アジアにおける協働というミッションのもと、今年も世界各地から50名余のプレゼンターを招く予定です。今年のTPAMが、特に国内の関係者にとって新しい協働パートナーとの出会いの機会となることを望んでいます。

今後TPAMが、アジアにおける同時代舞台芸術の国際プラットフォームとして、そのゆるぎない地位を確立し、国際舞台芸術界の関係者が毎年2月に必ず横浜を訪れるようになることを期待しています。

 

Hiroyasu Ando

小枝至

公益財団法人神奈川芸術文化財団 理事長

私たちが主催団体として参画する「国際舞台芸術ミーティング」が横浜で開催されるようになり、今年で7年目を迎えました。KAAT神奈川芸術劇場が開館した2011年から続くこの催事を支えて下さる多くの皆さまのご尽力に改めて深く感謝申し上げます。

今回の「TPAMディレクション」では、タイの映像作家/美術家のアピチャッポン・ウィーラセタクンが初めて手掛けた舞台作品『フィーバー・ルーム』の日本初演など、アジアの気鋭のアーティスト達が同時代の舞台芸術作品を展開します。KAAT神奈川芸術劇場では、全施設を会場として提供すると共に、アーティストの創造のバックアップを行うなど、劇場が一丸となってこの催事に取り組んでおります。

「芸術の創造、人材の育成、賑わいの創出」というミッションを掲げる当劇場も、引き続き芸術文化を支える一翼を担っていけるように邁進してまいります。また、この催事が参加される皆様の芸術文化との新たな出会いと交流の場になることを心より願っております。

 

Itaru Koeda

澄川喜一

公益財団法人横浜市芸術文化振興財団 理事長

横浜は常に「新しいもの」を生み出す風土があり、アートの実験的な試みの機会を提供し、世界に発信していく街です。様々な芸術文化事業を通じて、豊かで魅力的な横浜の街づくりに取り組んでいる私ども財団が、今年も国際舞台芸術ミーティング in 横浜(TPAM)に主催者として参画し、舞台芸術の国際的なプラットフォーム形成の一端を担うことができることを大変嬉しく思います。

横浜で7回目の開催となる今年も、舞台芸術のプロフェッショナル達の交流、国内外から集結する同時代の舞台プロジェクトの紹介という二つを柱とし、多様なプログラムが行われます。今年は、アジアのダンスプラットフォームである横浜ダンスコレクションとの提携をはじめとして、横浜美術館グランドギャラリーでの公演を予定するなど、当財団の施設との連携も深まっています。今回もTPAMが舞台芸術に関わる様々な人々をつなぎ、新たな可能性を拓く場となることを期待いたします。

 

Kiichi Sumikawa

丸岡ひろみ

国際舞台芸術ミーティング in 横浜 ディレクター
PARC – 国際舞台芸術交流センター 理事長

TPAMは2015年よりアジア・フォーカスを謳ってきました。各プログラムのご紹介はそれぞれの頁に譲りますが、今年はアジアからのエポック・メイキングな作品として、それぞれ今まさに世界各地で熱狂をもって迎えられているアピチャッポン・ウィーラセタクンの『フィーバー・ルーム』とエコ・スプリヤントの『BALABALA』をご紹介します。後者は、昨年上演しその後国際的にツアーを重ねているピチェ・クランチェン『Dancing with Death』とマーク・テ『Baling』に続いて、TPAMが参画する3本目の国際共同製作です。

この2作品と、「現代口語演劇」で日本の若手演劇人に絶大な影響を与えた平田オリザ氏が代表作『東京ノート』を自ら翻案し、台北の盗火劇団とのコラボレーションで臨む『台北ノート』(世界初演)は、プロだけではなく一般のお客様にも十分にご覧いただけるようチケットをご用意しております。

より活用していただけるよう、プラットフォームの公募プログラムとして位置づけを明確にした「TPAMフリンジ」(旧TPAMショーケース)、今年はヨーロッパ、アジア、日本から3つのネットワーク会議を招聘する「TPAMエクスチェンジ」、そして引き続き共同製作に参画しながらも複数のディレクターとともに幅広い作品をご紹介する「TPAMディレクション」を通して、これからも「アジア」と「同時代」をキーワードにプログラムを充実させていきたいと思います。

このアジア・フォーカスがこの規模で成立しているのは、東京オリンピックの開催年である2020年までという時限つきで増額された国家的文化予算のおかげであることは周知の通りです。2020年以降にTPAMがアジアに位置するプラットフォームとしてあるべき形を模索しつつ、今後はアジアを世界に紹介するだけではなく、世界をアジアに紹介もするという双方向の交流を通しての国際的ネットワーク形成を目指したいと考えています。

なぜ双方向でなければならないか。その問いに対する応答のひとつとして、今年9月に出版された演劇批評家・内野儀氏の著書『「J演劇」の場所:トランスナショナルな移動性モビリティへ』から引用して、主催者の挨拶に代えさせていただきます。

。芸術家は、、移動しなければならない。地理的移動、ジャンル的移動、思想的移動、方法的移動、である ― [中略]そうしてはじめて、日本を<媒介メディウム>にした、すなわち日本を根拠や定点や規範とすることなく単なる<媒介メディウム>とする、西というものが構想可能になる」

 

Hiromi Maruoka