恩田晃 ディレクション
現代のアジアではどんな音楽が奏でられているのだろうか?
どこからやってきて、この先どのように発展していくのだろうか?
2016 年、TPAMは音楽プログラムを開始する。アジアでは、経済成長、政治体制の変化、表現の自由化、インターネットを介した情報の伝播、伝統的な文化の影響など、多くの要因が絡みあいながら、これまでになかった新しい音楽表現が多くの国で生まれつつある。一言でいって、かなりエキサイティングな状況である。
歴史的な考察も踏まえ、そのダイナミックな動きが体感できるようなプログラムを作っていけないだろうか。だが、「アジア」という枠組みで、音楽を安易に特定するのは危険だ。国、地域、歴史、民族、宗教、他の文化との関連など、複雑な事情を背景に、音楽の在り方はあまりにも多様である。無数の音楽が「アジア」に内包されていると言っていいだろう。今回は、キック・オフ・イベントとして、これからTPAMが長期的視野で展開する音楽プログラムに向けてのダイジェストというべき内容である。
恩田晃
(サウンドアーティスト/キュレーター)
日本に生まれ、ニューヨーク在住。四半世紀に渡って録り溜めたフィールド・レコーディングを用いた『カセット・メモリー ズ』で知られている。キュレーターとして、吉増剛造、鈴木昭男、大友良英、堀尾寛太、山川冬樹らの北米でのツアーや展覧会を ポートランドのTBAフェスティバル、NYのザ・キッチンなどで企画してきた。