ダンスのアーカイブと老いを巡るシンポジウム
- 2.14 Sun11:00-16:30
- プロフェッショナル無料
- オーディエンス¥500
※予約不要、当日のみ
日本語・英語(同時通訳あり)
このシンポジウムでは、ダンスアーカイブボックス @TPAM2016のこれまでの経緯を紹介しながら、ヨーロッパ、インド、シンガポール、日本におけるダンスの継承のあり方をアーカイブボックスと老いという二つの視点から問い直します。アーカイブボックスは見知らぬ他者への贈り物となる一方、老いのプロセスは世代から世代へと形にならないダンスを伝える方法でもありました。現れた途端に消えてしまうダンスが提起するアーカイブをめぐる問いを考えます。
タイム・テーブル
スピーカー
羽鳥 嘉郎(TPAM 事務局)
1989年ブリュッセル生まれ。演出家、けのび代表、「使えるプログラム」ディレクター(京都国際舞台芸術祭KYOTO EXPERIMENT、2013、2014)。ワークショップ《自治》では広義の演出と言える「心がけ」や「教え」を制作し、《おかず石》では石をおかずにご飯を食べる。2012年「演出集 しかしグッズ」刊行。
オン・ケンセン(演出家、シンガポール国際芸術祭(SIFA)芸術監督)
シンガポール国際芸術祭芸術監督。演出家として現代アート界でのアジア芸術の発展と国際交流に貢献してきた。主宰する劇団シアターワークスではフライング・サーカス・プロジェクトによって世界的な評価を得た(現在主宰としての活動は休止中)。国際的コラボレーションに取り組む若手アーティストを支援するアーツ・ネットワーク・アジアを創設、また、『リア』(1997)に始まるシェイクスピア三部作も高い評価を得ている。2016年には、彼のトレードマークであるコンテンポラリーとアジアの伝統的アーティストとのコラボレーションとして、野田秀樹作『三代目、りちゃあど』を演出する。
久野敦子(公益財団法人セゾン文化財団 プログラム・ディレクター)
現代演劇、舞踊を対象分野にした助成プログラムの立案、運営のほか、自主製作事業の企画、運営を担当。舞台芸術のための新たなインフラ開発、才能発掘、育成に関する支援策を考える。2014年に本事業の出発点となったセミナー、ワークショップ「ダンス・アーカイブの手法」をセゾン文化財団が主催、企画制作を担当する。
伊藤千枝(アーキビスト)
1990年、日本大学芸術学部在学中に珍しいキノコ舞踊団を結成。 以降全作品の演出・振付・構成を担当。作品発表のほか、映画、コマーシャル、演劇への振付、出演、他のアーティストとのコラボレーションなど、その活動は多岐にわたる。主な振付作品は、映画『めがね』、NHK Eテレ『ドレミノテレビ』、フジテレビ『be ポンキッキーズ』、テレビ東京『しまじろうのわお!』、CM『アセロラ体操』など。2005年より桜美林大学の非常勤講師を務める。
手塚夏子(アーキビスト)
1996 年より、マイムからダンスへと移行しつつ、既成のテクニックではないスタイルの試行錯誤をテーマに活動を続ける。2001 年より自身の体を観察する『私的解剖実験シリーズ』始動。2010年より、国の枠組みを疑って民俗芸能を観察する試みであるAsia Interactive Researchを始動。2013年、関東から福岡県へ活動拠点を移行させる。
マーギー・メドリン(ユーザー/ドラマトゥルク)
マーギー・メドリンは、実験映像やメディアアートを駆使し、ダンスと映像の関係性を模索している。2007年から15年まで、振付研究所Critical Path(シドニー)のディレクターを務め、数々の賞を得る。また、1999年から2001年には、カールスルーエ・アート・アンド・メディア・センター(ドイツ)のレジデンスアーティストだった。
ヴェヌーリ・ペレラ(ユーザー)
スリランカの都市コロンボを拠点とするパフォーマー、振付家、ムーブメント・ファシリテーター。最初はスリランカの伝統舞踊キャンディアンダンスを習うことから始め、1994年から2007年までは有名なChitrasena Vajira Dance Ensembleのメンバーだった。2004年以降は、スリランカ国内、インド、イギリス、ドイツ、日本、スペイン、カンボジア、ミャンマー、シンガポールでコラボレーションプロジェクトに参加。それらのプロジェクトは、ダンス、演劇、映画、ライブアート、マルチメディアアート、サイトスペシフィック・アート、野外演劇、ミュージカル、ダンスセラピー、障害者及び健常者とのダンスなど多岐にわたる。2006年に心理学の修士課程を修了した後、ロンドンにあるコンテンポラリーダンスの一流教育機関ラバンに留学し、2008年にダンス準修士を取得。ラバンではシモーヌ・ミシェル振付賞を受賞した。それからは、ヨーロッパ、南アジア、東アジアのフェスティバルやプラットフォームやシンポジウムでソロダンスの小作品を発表してきた。 彼女はダンス創作に現代的アプローチを試みることでスリランカの文化的背景を表現しようとするスリランカでも数少ないアーティストの一人である。彼女は政治的〈扇動家〉としての身体に興味があり、パフォーマンスが持つ変革の力を信じている。
スザンヌ・フェルマー(ベルリン自由大学准教授)
ベルリン自由大学(演劇学、舞踊学)准教授。主な研究領域は、コンテンポラリーダンスとワイマール期のダンスの美学と身体論、ダンスと映像やビデオといったメディアの関係、コンテンポラリーダンスとパフォーマンスにおけるジェンダー論的視点、時間性やパフォーマンスの歴史性に関する概念。ダンスカンパニーRubato、ジェレミー・ウェイド、イザベル・シャッドらのドラマトゥルクを務めた経験もある。
ナフテージ・ジョハール(ユーザー)
伝統と現代を自由に横断するダンサー、振付家。バーラタナチャム、ヨガ、フィジカルシアターといった複数の身体言語を作品に用いて、階級やジェンダーや文化の問題内におけるエロティシズムのありかを突き止めようとしている。これまでCharles Wallace FellowshipとTimes Of India Fellowshipのフェローの経験があり、現在はベルリン自由大学国際研究センターのインターウィービングパフォーマンスカルチャーズ・フェロー。また、アショカ大学(インド)の教員も務めている。そしてヨガ、ダンスシアター、アーバンアクティビズム、野良動物の保護のためのNPOであるStudio Abhyas(ニューデリー)の創設者・ディレクターである。
中島那奈子(ダンス・ドラマトゥルク/ダンス研究)
ベルリン自由大学フェローとして、老いと踊りの研究に従事する。ダンス・ドラマトゥルク、日本舞踊宗家藤間流師範 藤間 勘那恵。愛知大学等で教鞭をとる。ドラマトゥルギーにLuciana Achugar「Exhausting Love at Danspace Project」(2006年度NYベッシー賞)、砂連尾理「劇団ティクバ+循環プロジェクト」他。ベルリンと東京でシンポジウム『The Aging Body in Dance/ 老いと踊り』を開催。共著にDance Dramaturgy: Modes of Agency, Awareness and Engagement (Palgrave, 2015) 他。
モデレーター
針貝真理子(慶應義塾大学講師)
演劇学/ドイツ文学・思想。ベルリン自由大学で演劇学を専攻。同大学にて、声の演出と空間性との関連をテーマに博士論文を提出予定。現在、慶應義塾大学等で講師担当。ドラマトゥルクとして田中奈緒子ソロ・パフォーマンス『光を投げる女』(ZKB Anerkennungspreis2012受賞)を共同制作。2015年には慶應大学教授平田栄一朗と共同で国際シンポジウム『聴取(不)可能な声』を開催。