※スピーカー変更のお知らせ
3月3日[月]の基調講演に予定しておりましたスピーカーのヤン・ゴーセンス氏[KVS, ロイヤル・フレミッシュ・ブリュッセル 芸術監督、ベルギー]が急病のため、スピーカーが変更になりました。なお、モデレーターの内野儀氏については変更はありません。
[同時通訳付]
基調講演:同時代の舞台芸術
● 3月3日[月]10:30〜12:00/恵比寿ザ・ガーデンルーム
モデレーター:内野 儀[東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻 教授、日本]
スピーカー:岡田利規[チェルフィッチュ主宰・演出家・小説家、日本]
      クリストフ・スラフマイルダー[クンステン・フェスティバル・デザール 芸術監督、ベルギー]
異なる文化背景の人々がダイナミックに移動する現代における舞台芸術の可能性を語り合います。
Jan GOOSSENS
● OKADA Toshiki
1973年横浜生まれ。演劇作家、小説家。97年、演劇ユニット・チェルフィッチュ結成。チェルフィッチュ(chelfitsch)とは、自分本位という意味の英単語セルフィッシュ(selfish)が、明晰に発語されぬまま幼児語化した造語であり、現代の日本、特に東京の社会と文化の特性を現したユニット名。2004年発表の『三月の5日間』で第49回岸田國士戯曲賞受賞し、07年には同作がブリュッセルのKUNSTENFESTIVALDESARTS07や、国立国際美術館、森美術館『六本木クロッシング展2007』に招聘された。05年横浜文化賞文化・芸術奨励賞受賞。07年神奈川文化賞未来賞受賞。小説集に『わたしたちに許された特別な時間の終わり』(新潮社)を刊行。
Christophe SLAGMUYLDER
© Michele Rossignol
● Christophe SLAGMUYLDER
ベルギー、ブリュッセル在住及び勤務。芸術監督をつとめるクンステン・フェスティバル・デザールは国内外の同時代芸術に関するプロジェクトを行っていくことに焦点をあてており、それぞれのプログラムはアーティストと直接対話することで生まれている。フェスティバルは毎年春に開催され、ベルギー及び海外からの約20作品をブリュッセルにて初演している。
UCHINO Tadashi
● UCHINO Tadashi
1957年京都生れ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(アメリカ文学)。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授(表象文化論)。専門は日米現代演劇、パフォーマンス研究。著書に『メロドラマの逆襲――〈私演劇〉の80年代』(勁草書房、1996)、『メロドラマからパフォーマンスへ――20世紀アメリカ演劇論』(東京大学出版会、2001)、『知の劇場、演劇の知』(共著、ぺりかん社、2005)等。「アメリカ文学研究」、「アメリカ研究」等の日本のアメリカ関係学会誌の編集委員や神奈川芸術文化財団理事、セゾン文化財団評議員などもつとめている。2007年から「舞台芸術」(京都造形芸術大学)編集委員、1998年からパフォーマンス研究の国際的学術誌「TDR」(MIT Press)のContributing Editor。
映像レクチャー@ 現代日本演劇の歴史性をめぐって2 ― 証言の演劇と外の思考
● 3月3日[月]13:30-15:30/恵比寿ザ・ガーデンルーム
スピーカー:鴻 英良[演劇批評家、日本]
最近、<外の思考>とでもいうべきものが感じられる舞台が出現してきました。それらには、外の文化に積極的に触れようとしながら、外の文化と対話しつつ、自分たちのポジションを見定めようとしている姿勢が感じられます。そしてそこから、もうひとつの別の傾向が生み出されてきました。それは<証言>という方法です。<証言の演劇>、つまり演劇の力を回復させるために、<他者>の事実性に向かおうとしながら、かつ言語の復権を図ろうとするこうした試みは、そもそも愉楽とともに思索しようとする演劇の根幹をなすものでした。思索と反省の回路を失ったグローバル社会への人間のこの新たな抵抗について、「希望がないわけではない」と語ったベンヤミンの思考を思い浮かべつつ語りたいと思います。

使用映像:劇団唐組/野田地図/劇団解体社/モレキュラーシアター
OTORI Hidenaga
● OTORI Hidenaga
1948年生まれ。2002〜2004年まで国際演劇祭ラオコオン(カンプナーゲル、ハンブルグ)の芸術監督も務める。著書に『二十世紀劇場 ― 歴史としての芸術と世界』(朝日新聞社)、『野田秀樹 ― 赤鬼の挑戦』(青土社、野田秀樹との共著)、訳書にタデウシュ・カントール『芸術家よ、くたばれ!』(作品社)、タルコフスキー『映像のポエジア ― 刻印された時間』(キネマ旬報社)、『イリヤ・カバコフ自伝』(みすず書房)など。
映像レクチャーA 拡張する舞踏・コンテンポラリーダンスの発生:
現代日本の舞踊における身体とは?
● 3月3日[月]16:30〜18:30/恵比寿ザ・ガーデンルーム
スピーカー:石井達朗[舞踊評論家、日本]
土方巽による『禁色』(1959年)を舞踏の嚆矢とすれば、その歴史は半世紀になる。日本に発生した舞踏は、過去20年ほどのあいだに目覚ましいほどに海外に進出し、国際的に強い関心がもたれ、欧米の都市においても「舞踏フェスティバル」と銘打った催しが行われるほどである。舞踏が狭量な自己オリエンタリズムに陥らずに、世界の舞踊界から注目を浴びるようになったのには、それなりの理由があるはずである。舞踏が「身体」に対して、「舞踊」に対して提示した問題とは何か。あわせて、舞踏との関連で、あるいは舞踏と関連することなく、1980年代の半ばに発生して独自の発展を遂げている日本のコンテンポラリーダンスという現象にも光りを当てる。

使用映像:土方巽『禁色』、大駱駝艦『海印の馬』、山海塾(未定)、H・アール・カオス『春の祭典』、勅使川原三郎『NOIJECT』、ダムタイプ『O/R』、伊藤キム『禁色』、ニブロール『no direction』
ISHII Tatsuro
● ISHII Tatsuro
朝日新聞、「ダンスマガジン」等に舞踊評を寄稿のほか、韓国、インド、インドネシアなどのシャーマニズム、祭祀、芸能、アクロバットなどをフィールドワーク。ダンス、サーカス、セクシュアリティ、身体文化などについて幅広く評論活動をする。主な著書に『男装論』、『サーカスのフィルモロジー』、『サーカスを一本指で支えた男』、『ポリセクシュアル・ラヴ』、『異装のセクシュアリティ』、『身体の臨界点』など。
勅使川原三郎 最新映像作品世界初上映
“Friction of Time - Perspective Study vol.2” (20 min)
※ 詳細はトップページのバナーをクリック!
[逐次通訳付]
古典芸能の手法をつかった現代演劇の可能性
● 3月3日[月]16:30〜18:30/世田谷パブリックシアター 稽古場A
第1部「世田谷パブリックシアターについて」
スピーカー:奥山 緑[世田谷パブリックシアター 制作課長]
劇場の紹介とともに、1997年の開場当初より取り組んできた作品をダイジェストで映像にて紹介します。
第2部「野村萬斎 芸術監督としての取り組み」
スピーカー:野村萬斎[世田谷パブリックシアター 芸術監督]
2002年に就任してからの芸術監督としての取り組みと、自身の作品を映像にて紹介、解説します。

* セッション終了後にスピーカーとの歓談の場を用意しています。
NOMURA Mansai
● NOMURA Mansai
狂言師。祖父故6世野村万蔵及び父野村万作に師事。2002年より世田谷パブリックシアター芸術監督。世田谷パブリックシアターでは「現代能楽集」「狂言劇場」「MANSAI◎解体新書」などオリジナル企画をシリーズ化、05年には就任後初の演出作品として『敦―山月記・名人伝』(朝日舞台芸術賞、紀伊国屋演劇賞を受賞)を発表し、古典芸能と現代芸術の融合を図った企画で高い評価を得る。他に映画『陰陽師』の主演、NHK『にほんごであそぼ』など幅広く活躍。最近の主演作に『国盗人』(自身の演出)等。重要無形文化財総合指定者。
OKUYAMA Midori
● OKUYAMA Midori
1986年(株)西武百貨店に勤務(〜93年)。87年劇場開場にともない、銀座セゾン劇場技術部および企画制作部勤務。95年より舞踏・山海塾の制作(〜2006年)。1998〜99年にコロンビア大学ティーチャーズ・カレッジ芸術経営学科修士コースに留学。帰国後(有)アムアーツ設立。2004〜06年(財)神奈川芸術文化財団演劇部門プロデューサー。06年より世田谷パブリックシアター制作課長。
[同時通訳付]
コンテンポラリー・パフォーミング・アーツ
― 欧州と南北アメリカの観点から
● 3月4日[火]10:00〜12:00/恵比寿ザ・ガーデンルーム
モデレーター:アリソン・アンドリュー[アーツカウンシル・イングランド 舞台芸術担当オフィサー、英国]
スピーカー:リチャード・ソベイ[IOUエグゼクティブ・プロデューサー、英国]
ナン・ヴァン・ホーテ[プロデューサー、オランダ]
クリストファー・バナーマン[ミドルエセックス大学 ResCen代表、英国]
ナイーゼ・ロペス[ダンス批評家/パノラマ・ダンス・フェスティバル キュレーター、ブラジル]
パフォーミング・アーツの文脈で、「コンテンポラリー」という語は時に混乱を招き得るが、同時にアーティスト、批評家、観客に興味深い問いを投げかけるものでもある。

「今」作られていて、国民的あるいはグローバルなテーマや問題につながる作品、というものにこの語は関わっているのか? 「伝統」と対決するアーティストの姿勢という、芸術史に通底するものにこの語は関わっているのか?

前衛的なものが正統派の位置を占めたとき、その意義は変化してしまうのだろうか?
若いアーティスト達は前衛的先駆者達の遺産の上にどのように自身の作業を積み上げるのか?

コンテンポラリー・パフォーミング・アーツの概念は文化によって異なるであろうことを踏まえつつ、このセッションは上のような、また他の様々な問いを考察する。また、大まかにこの100年間という時間的枠組みで西洋のコンテンポラリー・パフォーミング・アーツを概観し、文化を反映し観客を引き込むという課題にアーティスト達がどのように直面してきたかを検証する。

Alison ANDREWS
● Alison ANDREWS
ヨークシャー地域のパフォーミング・アーツ委員として2002年にArts Council Englandに参加。ストリート・アート、サーカス、カーニバル、また科学とアートのコラボレーションや国際的プロジェクトなどの分野横断的活動を担当する。IETM委員。1980年代に実験的パフォーマンスの作家、パフォーマー、演出家として、また若者のための演劇実践に関わって、活動を開始する。セノグラファーとしては特にサイト・スペシフィック・パフォーマンスやコミュニティとの作業に関心を持っている。最近ではNorthern Stageとの共同作業でNewcastle Literary and Philosophical SocietyとNorth East Mining Instituteでガイドツアーを創作した。
Richard SOBEY
● Richard SOBEY
実験的カンパニーIOUのエグゼクティブ・プロデューサーとして野外・屋内でのパフォーマンス、サイト・スペシフィックあるいはインタラクティヴなデジタル作品などを国際的な文脈で制作。フリーのコンサルタントとしても特にビジネス戦略について25年以上の経験を持つ。現在Arts Council Englandのためにアート・ネットワークの発展と野外でのプロジェクトにおけるディレクターのスキル発展のためのプロジェクトを行っている。NASA(イギリスの野外アーティストのネットワーク)の創立メンバー。NASAおよびPAN-Calderdale(英国Calderdale地域のアート・ネットワーク)のオンライン・ネットワークを運営。EON(European Off Network of independent artists)のキーメンバーであるほか、Calderdale地域の文化や経済に関連する諸組織に参加。1986年にはLincolnshireのArtEscapeレジデンス・アーティスト(彫刻)。
Nan VAN HOUTE
● Nan VAN HOUTE
1954年生まれ。アムステルダムの舞台芸術センターFrascatiのディレクターを15年務めるほか、おもに新進アーティストのプロデュースも行う。 アムステルダム大学で文学、演劇、美学を修めて以来、年間170のゲストカンパニーと2つのフェスティバルのマネージメント、6つのパフォーマンスのプロデュース、プログラミング、ドラマツルグ、演劇批評、若手の教育育成、文化の多様性や新進アーティストあるいは観客育成に関する会議の組織、IETMの(副)会長を務める。最近ではカンボジアでの演劇プロダクションやアムステルダムでのオルタナティヴな若手演劇人育成のシステムに関わっている。
Christopher BANNERMAN
● Christopher BANNERMAN
ロンドンのミドルセックス大学の、アーティストの創作プロセスを研究する機関ResCen (the Centre for Research into Creation in the Performing Arts)所長。ダンサー、振付家、芸術教育者として長いキャリアを持ち国際的に活躍。Dance UKの議長とThe Arts Council of England(現・Arts Council England)ダンス担当を務めた。現在London North Creative Partnershipsの議長、Rural Retreats(芸術活動主導者のための連続セミナー)の共同賛助人、芸術・人文科学研究会議とカナダ政府研究教授プログラムの顧問、英国文化・メディア・スポーツ省のDance Forumメンバー。
Nayse LOPEZ
● Nayse LOPEZ
1993年よりリオ・デ・ジャネイロにて文化ジャーナリスト、ダンス批評家として活躍。フリーランスのライター、研究者としての活動は多岐にわたり、ブラジル国内だけではなく、アメリカやヨーロッパにて、雑誌や新聞、テレビ番組の仕事に従事。2001年リオ・デ・ジャネイロにてパノラマ・フェスティバルでの仕事を開始、2004年以降キュレーター。リオ・デ・ジャネイロ及びサン・パウロにて「インターナショナル・ダンス・コンフェレンス」など様々なプロジェクトを運営。2003年、ブラジルで初めてのコンテンポラリー・ダンス関連のウェッブサイト、www.idanca.net を立ち上げ、現在はwww.ietm.org と協同し、サイトでのオンラインパブリケーションの編集も行っている。
[同時通訳付]
場のもつ潜在性 ― アーティストのための『遊び』場
● 3月4日[火]13:30〜15:30/恵比寿ザ・ガーデンルーム
モデレーター:近藤恭代[金沢21世紀美術館 交流課長/チーフ・プログラム・コーディネーター]
スピーカー:
マイク・クベック[スーパーデラックス エグゼクティブ・プロデューサー]
ヴィルヴェ・スーティネン[ダンスハウス・ストックホルム 総合監督・芸術監督、スウェーデン]
ヴァレホ・ガントナー[Performance Space 122 芸術監督、米国]
パフォーマンスの場を考えるときに建物(Venue)であるハード面と機会(Opportunity)というソフト面がある。19世紀以前は武士や貴族など特権階級のサロンやお座敷が中心であったところから20世紀には大衆のためのホールが発達し、それがどんどん巨大化していった。そしてソフト面でも20世紀にはジャンル化がおこりそれぞれにあった会場とその内容にどんどん専門化されてしまった。21世紀の今そんな枠組みをとりはずし、場所とアーティストがお互いの可能性を引き出し、育てている“場”というものがうまれつつある。本セッションでは新しい“遊び場”の可能性を数人でたちあげたプライベートスペースと自治体が運営するパフリックスペースの試みや事例をあげならフリートーク形式で考えて行く。
KONDO Yasuyo
● KONDO Yasuyo
クラシック、邦楽、現代音楽の公演や、美術、ダンスとのコラボレーションなどの制作を経験。1996〜2000年、神奈川県立音楽堂の音楽プロデューサーを経て、フリーランスとして芸術全般に関係するイベントのコーディネートに携わる。2004年4月より金沢21世紀美術館チーフ・プログラム・コーディネーターとして美術館のパフォーミング・アーツ部門を担当、現代を視点に置いたイベントや市民参画型プログラムを展開中。カリフォルニア大学サンディエゴ校卒。
Mike KUBECK
● Mike KUBECK
71年、米国カリフォルニア州フレスノ市生まれ。南カリフォルニア大学で映画制作と日本文学を専攻。93年、早稲田大学国際部に1年留学。日本滞在中、南カリフォルニア大学を卒業し、日本の会社へ就職。技術翻訳をしながら東京アンダーグラウンド音楽のライブに通いつめる。98年、生意気やクラインダイサムアーキテクツが設立した東京ブルーイングカンパニーに参加。麻布十番の事務所「デラックス」で即興音楽シリーズを始める。2002年、株式会社リサ・パートナーズを加え「スーパーデラックス」設立。現在、取締役プロデューサーとして勤務。
Virve SUTINEN
● Virve SUTINEN
2008年からストックホルムのコンテンポラリー・ダンスと周辺ジャンルのセンター、ダンスハウスの総合監督および芸術監督。2007年からIETM会長、The Expert Group for the Modules Network Funding and Mobility Funding議長。ヘルシンキのキアズマ劇場の前ディレクター、キアズマ現代美術館のパフォーミング・アーツ・プログラム担当。URB Urban Festival Helsinkiのディレクターでもあり、2004年から2005年まではDancing in November Contemporary Dance Festival in Helsinkiの共同芸術監督。
Vallejo GANTNEN
● Vallejo GANTNER
2004年12月よりPerformance Space 122 (PS122)の芸術監督。PS122はニューヨークにおける実験的で創造的な舞台作品を紹介する主要なスペースのひとつ。コンテンポラリーサーカス、キャバレー、音楽、エンターテイメント作品を紹介するSpiegelworldのディレクター兼共同制作者を2006年から2008年までニューヨーク市にて、2007年から2008年まではマイアミにてつとめる。2002年から2004年にはダブリンフリンジフェスティバルのディレクター、2000年から2001年まではメルボルンフェスティバルにてアーティスティックアソシエート。メルボルン生まれ。ディレクター、ライター、パフォーマー、エージェント、プロデューサー、プログラマーとして芸術分野における様々な仕事に従事してきている。
[同時通訳付]
サイトスペシフィック・ワークとは?
● 3月4日[火]13:30〜15:30/日仏会館 ホール
モデレーター:ヘンク・カイザー[ヴレーデ・ファン・ユトレヒト プログラムマネージャー、オランダ]
スピーカー:
高山 明[Port B 演出家、日本]
イェレナ・グルズマン[サイエンス・プロジェクト ディレクター、USA/日本]
具体的な場所性から立ち上げられた作品群が「サイトスペシフィック・ワーク」と称され、世界の舞台芸術祭などに多数現出し注目を集めています。また、例えば一回の上演に観客が一人、「舞台」は走行する車中。もしくは、舞台はダイニングテーブル、客席はそれを囲むダイニングチェアーなど、多くの場合その形式もユニークです。テクノロジーと文化政策の変化に伴い「作品」と「観客」の関係を変えて提出される「サイトスペシフィック・ワーク」について、実際にそれらを手がけているアーティスト、製作者に話を聞きます。
Henk KEIZER
● Henk KEIZER
演劇、文化学を学んだ後、青少年文化センターのコーディネーターとして勤務、また複数の演劇集団にて制作を行い、俳優としても出演。1991年から1996年まで、Trajekt Theatre Companyのマネージングディレクターとして欧州ツアーを行う。1996年5月から1999年7月まで、Oerol フェスティバルのマネージングディレクター。芸術監督及びスタッフらとともに、大道芸フェスティバルから欧州における主要なサイトスペシフィック・フェスティバルへと発展させる。1999年から2005年まで演劇集団ドッグトゥループのマネージングディレクターとして世界中にてサイトスペシフィックの作品を製作。2005年にヴレーデ・ファン・ユトレヒトの新しい文化プログラムのマネージングディレクター、後2008年にはプログラムマネージャーに就任。
TAKAYAMA Akira
● TAKAYAMA Akira
1969年生まれ。1993年に単身渡欧。ドイツにて演出活動と戯曲執筆を始める。1998年に帰国。2002年に演劇ユニットPort Bを結成。歌手・エンジニア・映像作家らと共に通常の舞台制作に留まらない活動を展開し、東京に拘った現代演劇の可能性を模索している。2008年からは『ポストドラマ演劇』の著者ハンス=ティース・レーマンとの共同プロジェクトが始まるなどドイツでの活動も行っている。2006年度よりにしすがも創造舎レジデント・アーティスト。
Yelena GLUZMAN
● Yelena GLUZMAN
Science Projectを1999に設立、長期間のコラボレーションを通じて振付、コンセプト、脚本を集団創作し、文化横断的なパフォーマンスを作り上げる。ビデオグラファー、アート・ライターとしても活動。ラディカルなパフォーマンスに関する隔週ペーパーEmergency Gazetteの共同編集者(1999-2002年)。Tokyo Art Beat、KakisaniやThe Star Magazine(マレーシア)のために寄稿、ビデオ製作。岡崎乾二郎の四谷アート・ステュディウムで客員講師。東京在住。
[同時通訳付]
ヨーロッパとアジアの同時代性を問い直す ― 身振り・ネットワーク・エコノミー
● 3月4日[火]16:30〜18:30/恵比寿ザ・ガーデンルーム
スピーカー:
武藤大祐[ダンス批評家、日本]
タン・フクエン[SEAMEO-SPAFA 研究員、シンガポール/タイ]
畠 由紀[国際交流基金 舞台芸術課 舞台芸術専門員、日本]
クリストフ・スラフマイルダー[クンステン・フェスティバル・デザール 芸術監督、ベルギー]
冷戦体制の解体、ポスト植民地主義、グローバル化とともに「ヨーロッパ」も「アジア」もその意味合いを変えた。すなわちEUや東アジア共同体は、政治的領土や文化的アイデンティティというより、むしろ緊密にネットワーク化された経済ブロックとして不断に要請されるのである。 そうした中、パフォーミング・アーツの文脈において、ヨーロッパとアジアの関係はいかなる争点をはらむのか。情報技術とモビリティの高度化により、あらゆる個人の身体と大文字の歴史、そして資本がかつてないほど激しく切り結ぶ今、われわれの想像力はどのように変容しつつあるのか。他者、権力、市場、身体をめぐるポリティクスを、複数の「個」の目を通じて検証する。
MUTO Daisuke
● MUTO Daisuke
ダンス批評。1975年生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得満期退学(美学)。アジア〜日本〜アメリカを視野に地政学的・歴史的観点からダンスと身体を分析。論考に「差異の空間としてのアジア」(『舞台芸術』12号)など。05〜06年、アジアンカルチュラルカウンシル・フェロー。第3回ITIアジアダンス会議ファシリテーター(07年・東京)、Indonesian Dance Festival 2008芸術委員(ジャカルタ)。桜美林大学ほか非常勤講師。
Tang FU KUEN
● Tang FU KUEN
1972年生まれ。バンコクを拠点とするSEAMEO-SPAFA(東南アジア教育省考古学・美術地域センター)にて歴史的遺産と芸術のためのプログラムを展開。2004年、シンガポールで初めてのIETMミーティングを共同運営。コンテンポラリー・ダンスとパフォーマンスをアジア・ヨーロッパ間で振興するため、ドラマツルグ、批評家、フェスティバルのオーガナイザーとして活動。ロンドン大学でメディアおよび文化理論、シンガポール国立大学で文学と演劇を専攻、韓国開発研究院で政策研究。
HATA Yuki
● HATA Yuki
お茶の水女子大学博士課程終了(音楽学専攻)。1989年より、国際交流基金の舞台芸術課専門員として、アジアの舞台芸術の紹介・共同制作に携わる。手がけた共同制作に『リア』(インドネシア、シンガポール、タイ、中国、日本、マレーシア)、『物語の記憶』(インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ)、『演じる女たち―ギリシャ悲劇からの断章』(イラン、インド、ウズベキスタン、日本)など。
Christophe SLAGMUYLDER
© Michele Rossignol
● Christophe SLAGMUYLDER
ベルギー、ブリュッセル在住及び勤務。芸術監督をつとめるクンステン・フェスティバル・デザールは国内外の同時代芸術に関するプロジェクトを行っていくことに焦点をあてており、それぞれのプログラムはアーティストと直接対話することで生まれている。フェスティバルは毎年春に開催され、ベルギー及び海外からの約20作品をブリュッセルにて初演している。
[同時通訳付]
モビリティ時代のネットワーク
● 3月5日[水]11:00〜13:00/日仏会館 ホール
最も移動を不得手とする芸術ジャンルの代表格、「舞台芸術」には人的ネットワークが不可欠? 実際にそれぞれのネットワークを築いて活躍しているパネラーを中心に「移動」時代のネットワークについて話し合います。
モデレーター:松井憲太郎[世田谷パブリックシアター プログラムディレクター、日本]
スピーカー:アムナ・クスモ[クローラ財団 ディレクター、インドネシア]
マリー・アン・ドゥヴリーク[IETM事務局長、ベルギー]
佐東範一[NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)代表、日本]
MATSUI Kentaro
● MATSUI Kentaro
1980年より劇団黒テントに所属し、主にプロデューサーとして東京をはじめ日本全国での旅公演を制作。88年からは演劇雑誌等で演劇評論を開始。89年より世田谷パブリックシアターの計画づくりに加わり、97年開館時より学芸事業を統括、演劇作品の企画とともに、ワークショップやレクチャー、出版などの企画も行なう。海外の演劇人との共同作業も多く、アジアやヨーロッパの演出家、振付家らと各種のコラボレーション作品を作ってきた。
Amna KUSUMO
● Amna KUSUMO
インディペンデントのアート・マネージャー、カルチュラル・プログラムのプロデューサーとしてパフォーミング・アーツに長く関わる。インドネシアの伝統的な、またコンテンポラリーのパフォーミング・アーツをプロデュースし、インドネシアだけでなくアジア、アーストラリア、米国、ヨーロッパ、南米をツアー。インドネシアのアート・アドミニストレーター第一世代として、多くの文化的プロジェクトや国際会議にコンサルタントやスピーカーとして参加。1999年に他3人の文化活動家とともに、学習の機会、ファンディングや情報へのアクセスを提供しインドネシアのアートを振興するためのNPO「Kelola」を発足。Kelolaは国内外の組織と協力しながら、インドネシアにおける文化交流を盛んにするため活動している。
Mary Ann DeVLIEG
● Mary Ann DeVLIEG
米国生まれで現在ブリュッセル在住。1994年10月からIETMの事務局長。英国ワーウィック大学でヨーロッパ文化政策の修士号取得。パフォーミング・アーツの製作、プレゼン、ディフュージョン、育成、ファンディングを専門とし、カリフォルニア、ニューヨーク、ロンドン、南西イングランドでカルチュラル・マネージャーとして活動。カルチュラル・マネージメントの教育に従事し、アーティストとアート・マネージャーのためのトレーニング・プログラムを実施。文化政策、ネットワーク、国際的あるいはヨーロッパの文化に関わる問題について教育、アドバイス、講演。アートとアーティストのモビリティへの長年の貢献により、EUが制定した「労働者のモビリティ年(2007年)」の「個人」賞受賞。
SATO Norikazu
● SATO Norikazu
1960年北海道生まれ。80年舞踏グループ「白虎社」の創立に参加。以後94年の解散までの国内公演、海外ツアーにて舞踏手兼制作者として活動。96年アメリカ・ニューヨーク、ダンス・シアター・ワークショップにて1年間のアートマネージメント研修。97年アメリカ・インドネシア・日本の3カ国による国際プロジェクト「トライアングル・アーツ・プログラム」に参加。98年から3年間の準備期間を経て、2001年NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)を京都にて設立。日本全国で社会とダンスをつなぐ様々な活動を行っている。
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