「マッチョダンス」とはナイトクラブで若いダンサーが男性客、女性客に見せる踊りで、その独特の動きのボキャブラリーと身体性はフィリピン特有のもののようであります。それは金を目当てにした誘惑の言語であり、「男らしさ」を売り物にします。『Macho Dancer』はそのマッチョダンスを女性が踊ってみせるパフォーマンス。女性がマッチョダンサーになることによって私たちの性の見方が揺さぶられ、社会の中でジェンダーがいかにコミュニケーションのツールとして使われているかを問います。作品ではパフォーマーと観客の性認識がごちゃごちゃに混ざり合う「ジェンダー・ループ」状態が現出。そして、そのジェンダーループを女性が演じるという行為自体が、商品としての身体という意識を浮かび上がらせます。
コンセプト・振付・パフォーマンス:アイサ・ホクソン
照明デザイン:ジャン・マーテンス
作曲:Lina Lapelyte
指導:Rasa Alksnyte
ドラマトゥルク:アルコ・レンツ
共同制作:Workspacebrussels, Beursschouwburg
レジデンス・協力:Workspacebrussels, Beursschouwburg, Wpzimmer
フィリピンのコンテンポラリーダンスの振付家/ダンサー。美術とバレエを学び、2010年マニラで開催されたポールダンスのコンペティションで優勝した後、ニューヨークなど世界中の都市で、旗を掲揚するポールに落書きをするパフォーマンスを始めた。ベルギーに継続して滞在するうち、ポールダンスをアーティスティックなパフォーマンスに置き換え、女性のポールダンサーの典型的なイメージや文脈を問う『Death of the Pole Dancer』を、2011年ベルリンHKW(世界文化の家)で行われたイン・トランジット・フェスティバルの委嘱作品として制作。その後、今度はナイトクラブのショーとして踊られる「マッチョダンス」を学び、2013年春、ブリュッセルのブーシャウブルグ・アートセンターで『マッチョダンサー』を発表した。